cuna li erre

2016新年交流(カールさん&マーニ)

異文化の遊びと服を携え、新年の挨拶に来たカールさん。
マーニと2人で和装に身を包み羽子板で遊び始めるが…


「やぁ、マーニ。君の世界の新しい年を祝いに来たよ…と言っても、君は数え切れないほど新年を迎えているかな。良かったら異文化の新年の遊びはいかがかな?」
着るのに手こずってる図が浮かぶ…w流石に紳士の手を借りる事に。
「ようカール良い所に!丁度暇しててよ…遊びときたなら、歓迎するぜ?」
「フフ…この手の服は馴染みがないみたいだね?帯を巻くから少し腕を上げてくれるかな?」
と、着せて。
「私の酔狂に付き合ってくれてありがとう。これは君が好きそうなゲームだと思ってね?では、まずルールを説明するよ」
「初めて見るわ、これは。…ありがとよ」
着付けて貰うと軽く腕を回したりして感触を確かめ。
「あぁ、頼む」
「ルールは簡単さ。この板でこの羽を相手に向けて打ち、相手は打ち返してラリーを続けるんだ。打ち返された羽を打てず落としてしまった方が負け。勝った方は負けた方に、この筆で顔に簡単な落書きを出来るんだ。一回勝つ事に一回書く事が出来る。他に説明が必要な事があるかな?」
「いや。なさそうかな……くくっ、しかし落書きか。その澄ました面を台無しにするのは楽しそうだな?」
くつくつと笑う。
マーニの笑う様子を見てこちらもニッと笑みを浮かべる。
「それなら早速始めよう。まずは私が先行で…よろしく」
軽く一礼すると、羽を空に投げマーニの方へ勢い良く打ち出した。
「っと、思ったよりは…とぶもんだな」
初めは難なく打ち返して様子見を。
「カールの所、行ったら暫く暇しなさそうだよな。見慣れない物も多そうで」
「ふふ、そうだろうね…っと、君にはとても新鮮な世界が広がっていると思うよ」
マーニの言葉を打ち返した羽根と共に返す。
「神も流石に異世界についてはー…っ!」
風に取られ煽られた羽根が、振った板を避け地に落ちる。
「っはは。運はこっちに味方したか」
ケラケラと笑って、支度してあった筆を取る。
「…全能であっても全知ではねぇのさ。てか俺は悪魔だって言ってんだろうよ」
口をとがらせ文句を言いさてどうするかとじっくり眺め、やがて頬へ斜めに筆を走らせた。
「…確かに、君は神というよりは悪魔の方が合う気がするね?」
楽しげに頬に筆を走らせる様に思わず苦笑いする。
「ふふ、まずはビギナーズラックという所かな。では、次は勝った方…今度はマーニが最初に羽根を打ってくれるかな」
落ちていた羽根を拾うとマーニの方へ投げる。
「こっちにゃ神も悪魔も区別は無い。自分がどちらに身を置くか、それ次第だ」
ぱしっと羽根を受け取り、クルクルと角度を変えて少し観察する。
「俺のガラじゃねぇのさ、ヒトの庇護者なんて…なっ」
そう言いながら鋭く打ち出す。
「ーっと、どちらにしても今の君には人間の味方をする義務はないだろう?」
パンッと羽根を打ち返しながら言葉を返す。
「誰しも背負う物はあるかもしれないが、己の自由は誰にもある物だと私は思うよ!」
空いた方向を瞬時に判断し、返された羽根を強めに狙い打ち出す。
「あはは…まぁそうじゃねぇと、クロウツなんざ今頃呑気に女の従僕に成り下がってられねぇさな」
楽しげに笑いながら軽快に打ち返す。
「ま、俺も俺で好きにや…っげ」
隙を狙われ慌てて追うも、着慣れぬ衣服がハンデになって間に合わず。
「クス…今度は私に運が合ったみたいだね?」
歩み寄ると板を置き、筆を取る。
「君には…そうだね、まずは手始めに…」
顔をまじまじと観察すると、鼻に一筋の線を引いた。
「さぁ、気を取り直してもう一度。勝負はまだまだ長いさ」
羽根を拾い上げると、彼に向け打ち出した。
「だな。まだ始まったばかりだ」
難なく返し、暫く鋭い応酬を続ける。
「…ありがとよ。カールのお陰で退屈せずに済んでる」
ふとなんてこと無いように言い放ちながら、急に速度を落として打ち返した。
「それは光栄。しかし、日々移り変わる世界や人は見ていてそう飽きないだろう?それに…」
強く打ち返され飛んでくる羽根の向きを読みながら受け返す。
「私もまた、長い時の中の一時の流れ者にしか過ぎな…しまった!」
フェイントに遅く飛んできた羽根を取り損ねてしまう。
「っ…ははっ!油断禁物だぜカール」
さってどうしようか…呟きながら筆をとると、先程頬へ引いた線と交差するように線を引く。
「…その、流れ者だからだよ。きっとな」
羽根を拾い上げ、距離を取ると打ち上げて
「ふふ、今度はそこかい」
頬をなぞる筆の感触をくすぐったそうにしながら微笑んだ。
マーニの先行で飛ばす羽根を再びこちらも打ち返しながら
「もし私がこの世界に生まれ、君と同じ時を生きていたら...どうなっていただろうね?」
何気ない問を打った羽根と共に投げかける。
「そうさな…カール、お前育ちいいだろ?なら出会いすらしないだろうよ」
打ち返すとふっ…と笑い軽く肩をすくめ。
「俺は人だった頃、地ベタ這いずってた方でね…」
気を取られて居たのか、危なげに打ち返す。
「へぇ…」
一瞬だけ揺らいだ様子を捉えるも、羽根をすぐに打ち返した。
「…もう遥か昔の話だが、私は上流貴族の者として生きていた。しかし常に背後に潜むは暗殺と争いの黒い世界さ」
返された羽根を再びマーニへ返す。
「その時の君の目には世界がどう見えていたのかい?」
餌。そう即答して打ち返す。
「騙して殺して奪い取る…生き抜くためだけの、ただの餌だ。…気付けば手段が目的になってたけど…よ」
返ってきた羽根を取り落とし、苦笑しながら羽根を拾い上げる。
「っち…まぁだからよ。今がきっと丁度良いのさ」
「それなら良かった。それと先程は失敬…不躾な質問をしてすまなかった」
筆を手に取り、次に線を引く場所を…と考えているとふと思いつき、ニヤリとする。
「少し目を閉じていてくれるかな?」
若干警戒しながらマーニが目を閉じると、右目を囲うようにハートの形に線を引いた。
「くっ…!クク…」
カールの笑いを堪える声に気づいたマーニが目を開ける。
「おいカール…一体何書いたんだよ?」
「クス…いや、今度は趣向を変えてみようかなとね?さぁ、次を始めようか」
羽根を受け取ると、はぐらかすように素早く羽根を再び打った。
筆の軌跡を思い返し、苦笑を浮かべながら打ち返す。
「次は何を描いてやろう」
「まだ勝負はついてないよマーニ」
呟きにカールが穏やかな声で異を唱える。
「いや、夕食を賭けた真剣勝負への意気込みをだな…」
「おや?決めた覚えは無いけれど」
「たった今、俺が気まぐれで」
真顔で答えたマーニの顔を見て笑い出すカールにつられ、笑い声を上げる。
「カール」ひとしきり笑った後、ニィと何時もの笑みを浮かべ呼びかけた。
「今年も宜しく頼むぜ?友よ」
下から持ち上げるように振り空高く打ち上げた。
「ーっと、あぁ。こちらもまた宜しく」
高く飛ぶ羽根を見上げ狙いを付けると、返事と共に羽根をマーニへ向けて打つ。
「そうだね…お互い今は二対二で引き分けだが、この一戦で決着をつけるのはどうだい?それに…」
返された羽根を追う目の色が青から鮮やかな赤い色へと変わる。
「君の顔がこれ以上面白くなるのを私が直視できない」
苦笑いを浮かべつつも、目は獲物に狙いをつけたかのように真っ直ぐマーニを見据え、大きく振り被ると早い振りで羽根を叩き込んだ。
「っ…てめぇがやったんだろうがっ!」
呆れた様な声を上げながらも、しっかりと受けて打ち返す。
「よーし。その整った顔にもう一度手心加えて、美味い飯にありつこうじゃねぇの」
カールの赤く変化した瞳を認めると、普段影の落ちている緑の瞳に鋭い光が宿る。
着ている衣服にはやっと馴染んだようだった。軽快な足捌きで立ち回りながらヒュゥ…と口笛を吹き、一度返す毎に少しづつ速度と狙いの精度を上げて行く。
何処まで付いて来れるか試すように。
「おっと…そう来なくてはね、マーニ!」
的確に狙いをつけ早くなる羽根のスピードに合わせながらこちらも機敏に動きつつ、マーニの緑の瞳にいつになく光があるのを赤い瞳は捉えていた。
「へぇ…なかなか楽しんでるようだね?だが…」
最後の一勝負を掛けた中、色の変化した赤い目は徐々に鮮やかさを増すと、その顔に不敵な笑みを浮かべる。
「それなら私も負けられない」
打ち返しながら左右へ段々と距離を開いていくと、一瞬だけ空いた足元へ向けて渾身の一撃を放った。
隙を突いて叩き付けられた一撃を、体勢を崩しながらも辛うじて打ち返す。
しかし立て直すまで次の一撃は待ってくれない。
「ちぃっ!」
舌打ちを打って追い縋ろうとするが、それは叶わず…羽子板の目の前をすり抜けて地に落ちた。
あぁっ…と悔しそうな声を上げてそのまま地面にぺたりと座るが、やがてくつくつと笑い始める。
「っはは…ぁー楽しかった。しかし惜しかったなぁ…」
それで?と楽しげに笑いながら続け、最後に何を描かれるかと思いながらカールを見上げた。
「ふむ…それならばどうしようかな?」
口元に手を当て、赤から青に変化した目を笑うマーニへ暫く向けていたが、落書きを思いつき微笑みを投げかけた。
「ふふ、最後の一筆を決めたよ。すまないが、立って少しの間目を閉じていてくれるかな?」
笑みを浮かべながら立ち上がったマーニが目を閉じると、筆を構える。
「さあて、何を描いてくれるのかな?」
「目を開けてからのお楽しみさ…」
カールが筆を肌の上に走らせた瞬間、マーニはぴくりと一瞬だけ身を動かした。
「くっ!くくっ…」
カールの笑いを堪える声にハッとしたマーニが目を開ける。
「カール、てめぇ…鼻の下に何描いたんだ?」
「クスクス…鏡を貸そうか、マー…くっあははははっ!」


懐から取り出した鏡を渡そうとマーニの顔を見た瞬間、あまりの可笑しさに堪えていた感情はついに崩壊した。「何だよ、ちょっと見せろ」鏡をカールから奪うように取ると、マーニはすぐさま鏡を覗きこむ。
「…ひでぇツラだなおい…くくく」
込み上げて来る笑い声をやっとの思いで押し殺し、気取った声で呼びかける。
「っはぁ…こちらをお望みですかな?ミスター」
瞬き一つの間にか左手に現れた山高帽を被りくるりと振り返ると、芝居がかった仕草でちょいと帽子を持ち上げて澄ました笑みを向けた。
「っはははは…は…やめてくれ、苦し…あはは…」
追い打ちにたまらず、再び笑い出す様子にマーニはニタリと笑って舌を出す。
気が済んだのかケラケラと笑いながら帽子を何処かへ消し去って、濡らして置いたタオルを手にする。
念入りに墨を拭うと、やっと落ち着いて呼吸を整えだしたカールにもほらよとタオルを投げ渡した。

暫くして、墨が残っていないかと顔を見合わせ確かめる。
『よし』
2人同時に声を上げ、先程までの惨状を思い出してクスクスと笑い合った。
「じゃ、飯食いに行こうぜカール」
「着物のままでかい?」
「ここは魔窟だぜ?種族、人種の坩堝…多少見慣れねぇ服でも目立ちやしねぇさ」
それに割りと気に入ったしよとマーニは続け、上機嫌に鼻歌を歌う。そして自分の財布を引っつかむと付いてこいと言いたげな視線を送る。
カールが後に続くと満足そうに笑って2人茜色に染まった街を歩き始めた。

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